2020-01-01から1年間の記事一覧

小説6

寒いのは嫌だな。冬は嫌いだ。イライラする。僕の人生には癒しがない。猫を飼いたい。僕の両親は猫が嫌いだ。どうしてだろう。あんなにかわいいのに。ともかく、ひきこもりの身分では猫を飼う権利はない。自分の世話だってろくにできないんだから。どうしよ…

小説5

眠れない夜が続いた。どうしても眠れなくて、真夜中に飛び起きてノートパソコンの電源をオンにした。古いバラエティ番組を観る。有名人がやっているネットの番組を観る。少しだけ面白い。あくびが出たので寝られると思った。そしてまた布団に戻る。毛布にく…

小説4

夕方になり、喉が渇いたのでジュースを買いに外に出かけようと思った。外と言っても自販機は家からすぐのところにある。だけど足が動かないのだ。自分を嘆いた。もっと暗くなってからにしよう。そしたら出られるかもしれない。どうしてこんなに悩まなくては…

小説3

階段を降りる途中で女の子の声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。一階に着いて驚いた。幼稚園の頃からの幼なじみの優ちゃんがいるのが見えた。俺は昨日の晩、風呂も入ってなくて汚ならしい格好だった。幼なじみとはいえ、同級生に、ましてや女子にこの姿を見…

小説2

午後の夕陽が差し掛かる頃、クラスメイトの修司君が僕の家に訪れた。彼は封筒を僕に差し出すと、「みんな、待ってるからな」とぶっきらぼうに言って、去ってしまった。彼とは前まで仲が良かったんだ。どうして僕と修司君の間に溝が出来たのか。それは階級の…

小説1

僕は中学二年の男子だ。勉強はできないし、運動もできないし、ルックスも悪い。当然、女子にモテる訳がなく、それどころか避けられてばかりだ。女子は辛らつだ。厳しい視線に耐えられそうもない。 このところ僕は学校をずっと欠席している。自意識過剰と言わ…